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<幕の内外>南北作品の普遍性 人間の本質鋭く描く


2009年8月15日


 人間の本質は、今も昔もあまり変わらない?

 強さと弱さ、賢さと愚かさ。一人の人間の中にも、いろいろな側面があり、時間や環境によっても変化する。そのあたりを歌舞伎は、なかなかうまく表現しています。

 「四谷怪談」を書いた鶴屋南北の人間観察の鋭さは一級品。

 たとえばヒロインお岩を死に追いやる極悪夫の伊右衛門。彼とて、最初はお岩に惚(ほ)れていたのに、生活の苦しさからお岩を厭(いと)いはじめ、金持ち娘との婚姻という安直な道を選ぶ。

 罪を重ねて「首が飛んでも動いてみせるわ」と豪語したものの、お岩の霊にたたられて弱気になり、供養する姿は哀れさすら漂います。

 人間関係の変化という点では「桜姫東文章」も秀逸。チンピラの権助に暴行され、お姫さまから女郎に身を落とした桜姫のはすっぱな女への鮮やかな転身はもちろん、権助にも注目。

 姫の稼ぎもあって生活も安定し、長屋の大家におさまっている権助。町内の寄り合いで、料亭へいそいそ出掛けていく姿は、プチ名士気取り。かつてのワイルドさも薄まっています。

 そんな権助に、姫の態度も微妙に変化。彼の精悍(せいかん)さに夢中だった恋の熱さは今やさめ、なれ合いの倦怠感(けんたいかん)すら漂います。

 激変する環境に、最初のうちこそオロオロと「そなた良いように指図してたもや」と心細げだった姫も、曲がりなりにも生活に馴(な)れてからは、一緒に布団で寝ようと誘う権助に「よしねえな。今夜はひとり寝が気散じだよ」と軽口をたたくほど、たくましくなっている。

 一筋縄ではいかない人情の機微や気持ちの変化が、とてもよく描かれています。

 (イラストレーター・辻和子)
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われ日本の伝統芸能を愛す。そのため記事をここに書きとめ候。参考にされるならば、またうれし。ともに伝統芸能にはまろうではないか。
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あれ、どこで読んだんだっけなと探すことが多いので、ここにたんたんと書き留めることにしました。最新あり、遅いのもあり。鷹揚のご見物を♪


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