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<幕の内外>短い場面でも周到 無駄のなかに美学凝縮

2009年8月22日東京

 歌舞伎は「無駄」でできている?

 観客もほとんど気がつかないくらいの細部に凝った道具や衣装。ほんのちょっとだけの登場なのに、豪華絢爛(けんらん)な演出。ストーリー展開上、「無くても別に困らない」場面すらあります。「桜姫東文章」の「三囲(みめぐり)の場」などはその代表。

 屋敷に忍びこんだチンピラの権助に暴行されて妊娠した桜姫。彼との一夜が忘れられない姫は、後に再会した権助と逢瀬(おうせ)を持ちますが、僧・清玄と密通したという濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)を着せられ、二人とも屋敷を追われてしまいます。

 春雨がしとしと降る夕刻の土手をさまよう桜姫。振り袖に古びた蓑笠(みのかさ)をつけた姿であらわれ、幕切れには拾った破れ傘をさして、闇のなかにたたずむ様子は、まるで古い絵双紙から抜け出たようで、ドキリとするほどの絵画美にあふれています。

 あらすじとは関係のない、こうした「絵になる部分」をわざわざ用意するのが歌舞伎の美学。短い場面でも見せ方は周到。高貴な姫は赤い振り袖姿が定番ですが、ここでは、少し色あせた赤が使われます。落ちぶれて野外をさまよっている設定に、ぴたりと合っています。

 姫の相手とされ、追放された清玄も、偶然同じ場所にやって来る。恋い慕う姫の片袖と、姫と権助との間にできた赤子を抱く清玄。互いにそれと知らず、闇のなかですれ違い、別れる二人。とても印象的なこの場面、浮世絵師・初代歌川豊国も、素晴らしい絵を残しています。

 作者の鶴屋南北は、芝居にこうした趣向を盛りこむのが得意でした。無駄のなかには、歌舞伎の美学が凝縮されています。 (イラストレーター・辻和子)
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われ日本の伝統芸能を愛す。そのため記事をここに書きとめ候。参考にされるならば、またうれし。ともに伝統芸能にはまろうではないか。
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あれ、どこで読んだんだっけなと探すことが多いので、ここにたんたんと書き留めることにしました。最新あり、遅いのもあり。鷹揚のご見物を♪


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