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<幕の内外>『一世一代』の舞台 役者の歴史に立ち会う

2009年6月27日 東京

 「一世一代」という言葉。大勝負がイメージされますが、歌舞伎では、役者が自分の得意な役を演じ納める時に使います。チラシなどでは、演目名の横に「だれそれ、一世一代にて相勤め申し候」と表記されます。

 最近も、歌舞伎座で一世一代の舞台がありました。六月の「女殺油地獄」、片岡仁左衛門の与兵衛がそれ。この人のこの役が観られるのは、もうこれで最後です。

 この一世一代、最近では中村富十郎の舞踊「船弁慶」や、中村芝翫の「京鹿子娘道成寺」などがありますが、共通するのは、得意でしばしば演じてきた役、という点。長年練り上げてきた工夫の詰まる、最後の総決算になるので、演じる意気込みもひとしおでしょう。

 今回の与兵衛の例でいえば、仁左衛門が前名の孝夫時代に、初役で勤めたのが一九六四年で、半世紀近く前のこと。上方の重鎮だった父・十三代目が、その二年前に関西で旗揚げした「仁左衛門歌舞伎」で演じられました。

 当時は上方歌舞伎が不振を極めていた時代。十三代目が私財を投じる覚悟で踏み切った自主公演で、孝夫の与兵衛は大評判に。弱冠二十歳、与兵衛の設定も十九歳。実際の年齢も近く、身勝手な若者を現代的な感覚で演じました。上方不遇の時代を乗り切り、ブレークするきっかけのひとつとなった役です。

 歌舞伎では、必ずしも役と役者の実年齢が近い必要はありませんが、芝居は「生もの」なのが最大の魅力。同じ役者の同じ役でも、さまざまな経験を経て、演じ方も少しずつ変わる。

 一世一代の舞台を観るのは、役者の歴史に立ち会うことでもあります。 (イラストレーター・辻和子)
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われ日本の伝統芸能を愛す。そのため記事をここに書きとめ候。参考にされるならば、またうれし。ともに伝統芸能にはまろうではないか。
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あれ、どこで読んだんだっけなと探すことが多いので、ここにたんたんと書き留めることにしました。最新あり、遅いのもあり。鷹揚のご見物を♪


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